建築物・内装の意匠登録5
今回は作図上のポイントにつて少し掘り下げてみたい。
建築物の意匠に特有な図面の記載の留意点は下記のようなものがある。(特許庁 意匠登録出願の願書及び図面等記載の手引)
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(1)建築物の内部について意匠登録を受けようとする場合
建築物の中の一室等のように、「内側」の一部について意匠登録を受けようとする場合、 意匠登録を受けようとする部分の形状等及び用途と機能の認定に支障が無く、かつ、出願 人が建築物全体の形状等における、位置、大きさ、範囲がありふれたものであると考える場 合には、建築物の外側の開示は不要です。
意匠登録を受けようとする部分の建築物全体における位置、大きさ、範囲に特徴があると 考える場合など、必要がある場合は、建築物全体を開示することもできます。
(2)複数の構成物からなる建築物
複数の構成物からなる建築物について一意匠として意匠登録を受けようとするものである 場合には、それらの位置関係が明らかとなる図を少なくとも一図開示します。
(3)図の表示
図の表示は、物品の意匠の意匠登録出願と同様に、【正面図】、【背面図】、【左側面 図】、【右側面図】、【平面図】、【底面図】、【〇〇断面図】、【〇〇切断部端面図】、【〇 〇拡大図】、【斜視図】、等を用いて記載しますが、建築図面に用いられる図の表示である 【東側立面図】、【西側立面図】、【南側立面図】、【北側立面図】、【屋根伏図】、【○○ 平断面図】、【○○立断面図】等を用いて記載することも可能です。
(4)透視図法(パース図法)
正投影図法、アイソメトリック図法(等角投影図法)、アクソノメトリック図法、キャビネット 図法、カバリエ図法の他、透視図法(パース図法)を利用することもできます。
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今回特徴的なのは建築物の内部のみの意匠(部分意匠)も定義していることにある。
内装の意匠が複数の意匠法上の物品などからなるものであることに対して、建築物の意匠の内部は意匠区分の異なる物品を含むことができない。
今後双方に重なる出願が出てくるような気がするが、後日交通整理がなされるのではないかと思う。
また、建築物や内装の意匠の作図においては透視図法が新たに必要図として認められるようになったが、万が一裁判になった際には正投影図法による資料を要求されることは避けられない。
正投影図法による6面図に準ずる図面を中心に構成することが望ましい。
下記のような出願も可能になるため、プラント建築分野などからの出願も今後増えてくるものと思われる。(画像の意匠の組み込み)
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